Photo Authoringは、
パソコンによる写真データを最適化(マスタリング)する暗室作業です。
Photo Authoringを理解すると撮影の組み立て方が変わります
Photo Authoringの本質は、潰れ傾向にあるデジタル写真データの中間域を増大させることで、本当は写っている画像を自然な形で再現(データ量は増えます)する作業です。
この中間域の増大作業に、伝統的な暗室技術や印刷製版技術を絡めることで、理想的な写真データを誕生させることできるようになります。
理想的なプリントや印刷用のCMYKデータを作ることができます。
Photo Authoringを習得すると、「意図しているベストな撮影方法がどういうものなのか?」が理解できるようになることも、Photo Authoringの人気の秘密です。
マスタリング(データの最適化)とは
音楽をレコーーディングしてCDを作るためには、CDとして音楽を再現できる範囲(ダイナミックレンジ)にぴったりになるように、音楽のデータをしまいこまなくてはなりません。これがマスタリングです。
マスタリングをしないと、せっかく演奏した楽器や音声がCDできちんと再現できません。一部の楽器が聴こえなくなったり、ボーカルが不明瞭になったりするわけです。そのためにも超一流のマスタリングエンジニアは引き数多なクリエイターなのです。
しかも、最近はスマホやタブレットなどのイヤホーンで聴くリスナーが急増したので、マスタリング技術は日々劇的に進化しています。
さて、写真データも同じようにマスタリングをすることによって、撮影データでは再現できていなかった色彩や階調を、目的にあったマスタリングを施すことで、鮮明でふくよかな階調の画像に(つまり普通の状態に戻す)しようと考えたのが、Photo Authoringです。
これはダメな部分を修正しようとするレタッチ作業とは全く違いコンセプトの作業です。
Photo Authoring技術は、国際博物館会議京都大会 - ICOM KYOTO 2019でも高い評価を獲得しました。
Photo Authoringとは何か?
PhotoAuthoring(フォトオーサリング)は、Adobe社の画像編集ソフトであるPhotoshopを使用した写真撮影データの仕上げプロセスの総称です。
Authoringとは、データを最適な状態でCDやDVDメディアに書き込むことを意味しますが、PhotoAuthoringはフィルムや印画紙の時代の方には、焼き付けという言葉がぴったりイメージできるでしょう。
フォトオーサリングはいわゆるレタッチなどの画像データの加工作業ではなく、写真的に理想的な状態に画像データを仕上げる、言わばパソコンによる暗室作業です。
Adobe社のPhotoshopは月額1000円程度で使用できますので、写真製作の必須スキルとして注目されています。
Photo AuthoringはRAW現像やレタッチと何が違うのか?
「Photo Authoringができれば、RAW現像は必要ないのですか?」という質問をよくお受けします。
また、レタッチとフォトオーサリングを混同している人も多いのが実情です
この三つは、同じように写真データによるパソコン編集作業ですが、個々の目的はまったく違います。
フォトオーサリング=データを写真的に最適な状態にするパソコンによる暗室(焼き付け)作業。
RAW現像=生(RAW)のデータから、写真的に必要なデータ分を抽出する作業。
レタッチ=写真画像を修正する様々な作業。
Photo Authoringが出来るようになると劇的に撮影が変わります
写真の仕上イメージを事前に把握することで、理想的な撮影方法をシュミレーションできるようになります。
画像データを大幅に増量させ、密度の濃い写真画像を誕生させることができます。
Gデザイナーや編集者など写真を扱うお仕事の方は、印刷やWeb製作のスキルアップにつながります。
インクジェットプリントの色作りや、印画紙プリントの発色を安定して出来る様になります。
レベル補正とトーンカーブ操作では画質は劣化するカメラ機能の向上により、写真データの数値は大きくなる一方です。
そのため撮影データは、そのままでは圧縮気味になっているケースが多々見受けられます。
写真データをレベル補整やトーンカーブで加工すると、データはさらに圧縮されてしまうことが多く、その影響でデジタル写真特有のギラギラ感や暗部の潰れが発生してしまいます。
パソコンでデータを加工すると「数値が小さくなる:データが枯れる」という認識が一般的なのは、こういった背景があるからかもしれません。
ちなみに、フォトオーサリングすると写真データは大幅に増えます。
Photo Authoringはレタッチ(加工)ではなく、データを自然な状態に戻す行為
フォトオーサリングは、銀塩印画紙を現像/引き伸し術を踏襲した伝統的な暗室技術と、美しい印刷物を制作するための製版技術をPhotoshopで再現するプロセスを体系化したもので、一般的な画像加工や画像を修復するレタッチ作業とは基本的に異質な作業です。
フォトオーサリングを学習された生徒さんが、写真が急激に上達することに驚かれるています。


私にとってのオーサリング(中塚 隆之さんの作品)
ライトアップ試験の時に偶然撮影できた1枚。
ただ、ライトの人口色を補正する技術を持ち合わせていなかったので、お蔵入りになっていました。
この色が撮影時は出ていなかったのです。
全くのオレンジで困っていました。
ホワイトバランスだけでは如何ともしようがなく諦めていました。
今日、思い出してauthoringしてみたら素直に表現できたので、自分でも少し進歩したのかな〜と思っています。
私にとってのオーサリング(松田吉弘さんの作品)
先生と出会う前から無手勝手流にフォトショップ使っておりました、出会ってから変わったこと
それは引き算(補色)を教えてもらったこと
現像時から勝負は始まりますがraw画像を色温度と露光を中心に調整します
そしてフォトショップでオーサリングするわけですが
下の絵ならば緑を黄色を如何に引くか街頭で明るく写った岩の彩度明度を如何に調整するか
カメラは正直に写しますが
私の目には迫ってくる銀河と頬打つ風と白い波しぶきしか写ってません
それを調整してくれるのがオーサリングです
そしてその場の空気感を少しでも伝えることができるようになりました
私の写真と星景写真との違いもあるのですが、機会があれば説明させていただきたいと思います


本に掲載された写真を実際のフォトオーサリング講座の様子を動画で御覧頂けます
アンセル・アダムスのゾーンシステムを参考に、フォトオーサリング開発のきっかけを解説しています。
フォトオーサリングの基本理論を解説。本に掲載された教材写真を実際にフォトオーサリングしています。
スマホカメラで撮影されたロンドンの夕景。逆光なので、真っ暗なのですがフォトオーサリングすることで豊かな諧調が再現できました。
暗室テクニックである被い焼きや、撮影時にどのようなことを注意しているかなど、撮影=フォトオーサリングの流れを解説しています。
カラー写真のフォトオーサリングの仕方を解説。
補色と彩度を調整することで肌の透明感を出すためのプロセスを説明しています。
PhotoshopでJPEGデータを改めてRAW現像することができることを解説しています。陰影の深い状況の撮影とフォトオーサリングの仕方についても解説しています。
Photo Authoringでできる日陰の色対策


強い日差しだと、波長の長い光は感謝しないので、波長の短い光が写真に目立つようになります。
結果として、日陰や空気中のただよく水分は波長の短いシアン色が強調されてしまいます。
肉眼は自動的にホワイトバランスを調整して、情景を見ていますので、写真は予想以上に見た通りに写りません。
だからといって、安易にホワイトバランスを極端に操作して撮影すると、今度はカラーバランスが壊れてしまいますので、おすすめしません。ホワイトバランスの設定によって、撮影される光の配分がかわってしまいます。
つまり、カメラのホワイトバランス設定で、撮れる写真が色調以外にも差が出るということです。
モノクローム用のコントラストフィルターはこの原理を活用して、諧調を肉眼で見たときよりも美しく撮影しています。
PhotoAuthoringするときに、単にホワイトバランスを変えるのではなく、ひとつひとつの色彩の中にあるシアン色を丁寧に取り除くことで、本来肉眼で見ている正常な色彩が写真として見えて来るようになりますので、ぜひ、このプロセスを覚えてください。
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大(暗部が見えるようになります)
イメージ→色調補整→特定色域→各色を調整して補色を抜いて色の抜けが良くなるようにします
イメージ→色調補整→特定色域→黒をしめます
※ポイントは安易にホワイトバランスを操作しないことです
色彩のヌケを向上させる


露出を明るい、暗いで捉えるのではなく、色が再現できる濃度で捉えてください。
撮影データの中に濃度さえあれば、色の中にある隠された色彩はPhoto Authoringで再生できます。
Photoshopの環境設定→Camera Raw
Camera Raw環境設定→すべてのサポートされているJPEGファイルを自動的に開く
※これでJPEGデータでもRAW現像のプログラムを使って現像できるようにできます。
RAW現像のプログラムによって、ホワイトバランス(色温度)を変更
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大(暗部が見えるようになります)
イメージ→色調補整→特定色域→各色を調整して補色を減衰させてキーカラーが目立つようにします
イメージ→モード→RGBからLaカラー空間に変更
※いわゆるCGで使用される色なので、諧調表現の領域は大幅に増加します。
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大
※全体的に色調は柔らかい感じになります。
イメージ→モード→Laカラー空間からRGBモードに戻す
イメージ→色調補整→特定色域→黒をしめます
イメージ→色調補整→彩度→キーカラー(印象色)の彩度を微増する
中間調を増やして諧調を豊かにする

18,002,686 バイト(ディスク上の18 MB)

46,005,388 バイト(ディスク上の46 MB)
2.25倍に増加できました
Photo Authoringによって、画像データの中間調を膨よかに増量。
データは劇的に増加できます。

ラチチュードの1/3は空白

理想的なバランスに変化
色温度を変換して印象を変える


便利なCmeraRawを使って、ホワイトバランスと色かぶりを簡単に補正することができます。
最後に、各色の補色操作によって印象を正しくします。
Photoshopの環境設定→Camera Raw
Camera Raw環境設定→すべてのサポートされているJPEGファイルを自動的に開く
※これでJPEGデータでもRAW現像のプログラムを使って現像できるようにできます。
RAW現像のプログラムによって、ホワイトバランス(色温度)を変更
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大(暗部が見えるようになります)
イメージ→色調補整→特定色域→各色を調整して補色を減衰させてキーカラーが目立つようにします
イメージ→色調補整→彩度→キーカラーの彩度を微増
潰れた暗部を再現する


髪の毛に注目!撮影データで黒潰れしていた階調が見事にPhoto Authoringで再生しました。
実はキトンと写っていたのです。
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大(暗部が見えるようになります)
イメージ→色調補整→特定色域→白、グレイ、黒を調整して、黒のしまりとハイライトのヌケをよくする
投げ縄ツールを使って、髪の毛部分を選択→周辺ぼかし
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大(髪の毛が見えるようになります)
投げ縄ツールを使って、背景のバレ部分を選択→周辺ぼかし
レベル補正で背景のバレ部分を追い焼き
白飛びなしで全体を鮮明にする

ハノイの日差しは強力。
ベトナムの女子大生は色黒。
調子にのって、明るく撮影すると、せっかくのシルクのアオザイの布の質感が白飛びして台無しになるので、かなりアンダー気味に撮影していますが、アオザイの光沢部分に限って言えば、適正露出です。
全体的に露出アンダーの印象を、白とびさせないようにPhoto Authoringできます。

イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大
※全体的に明るくなって暗部が見えるようになりますが、ハイライトは変わりません
イメージ→色調補整→特定色域→各色を調整して補色を減衰させてキーカラーが目立つようにします
イメージ→色調補整→彩度→キーカラーの彩度を微減
カラー画像を鮮明にする


ペナン島にある水上にある中国人の居住区。
LEDのイルミネーションライトにカメラに装着したLEDパネルでライティングして撮影。
明るく撮影すると、イルミネーションの色が浅くあるので、暗めに撮影。
Photo Authoringを施すことで、肉眼で見た印象を再現できます。
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大させます
※全体的に明るくなって暗部が見えるようになりますが、ネオンサインが色褪せさせないように注意。
イメージ→色調補整→特定色域→各色を調整して補色を減衰させてキーカラーが目立つようにします
イメージ→モード→RGBからLaカラー空間に変更
※いわゆるCGで使用される色なので、諧調表現の領域は大幅に増加します。
イメージ→色調補整→シャドウ&ハイライトを開き、中間諧調を増大
※全体的に色調は柔らかい感じになります。
イメージ→モード→Laカラー空間からRGBモードにもどす
イメージ→色調補整→特定色域→黒をしめます